2020年8月24日、グッドラック社が運営する「どんなときもWi-Fi」から、とある発表がありました。
内容は、
「容量無制限プランの廃止」
です。
そして、今後すべてのインターネット事業において「無制限」は謳えなくなる可能性も、出てきました。
そこで今回は、
◆どうして容量無制限はできなくなったのか
◆無制限を謳うリスク
◆今後のWi-Fi事業はどうなる?
をしていきたいと思います。
どうして容量無制限は無理?
こちらについて解説していきましょう。
容量無制限の仕組み
どんなときもWi-Fiがどうやって容量無制限、かつ、どこでも繋がる、を実施していたのか。
ちょっと語弊はありますが、小学生でも分かるように言うならばこういった理由です。
ポイント
au, docomo, softbank全部のSIMを挿しているから
そう。ひとつの機械に、全部のキャリアの通信ができるようにするわけです。
全国ほとんどの場所で、どこかのキャリアの通信は繋がるので、
どこにいても繋がる、という状態が生まれます。
※実際は、クラウドSIMという規格を用いているので、3枚のSIMが機械に入っているわけではありません。
また、どれくらいの容量で通信を制限するか、は事業者(グッドラック)次第なので、
「赤字でも制限しない!」と動けば、制限は取っ払えるわけです。
これが、意訳したどんなときもWi-Fiの実態です。
実はほとんどの"容量無制限"は嘘!
謳い文句としてつかっているところは結構ありますよね。
例えば、こういった商品。
ポイント
モバイルWi-Fi
ホームWi-Fi
Softbank Air
たしかに、これらの商品の多くは「容量無制限」を謳っていますね。
でも、その文言の近くに、こんな文章はありませんか?
【3日で10GBを超えた場合は、制限をかけさせていただく場合があります。】
そうです。
つまり、3日間合計で10GB以上の通信をしてしまうと、通信制限がかかってしまうのです。
それを"超えない"場合の通信においては、無制限。
これが、無制限の真相なのです。
なぜ通信制限をかけるのか
理由は簡単。
「儲からない」からです。
通信を行った量に応じて、Wi-Fi/ルーターの提供社は、
その大元を担っているキャリアに、お金を払わなければなりません。
そのお金が、なんとか利益を維持できるレベルが、先ほどの
【3日で10GB】
という容量なのでしょう。
ただ、多く使う人もいれば少なくしか使わない人もいて、
その平均値をうまくコントロールするのが、ビジネスの肝です。
実際にみんなに3日で10GB近く使われたら、会社は赤字経営になってしまうでしょうね。
どんなときもWi-Fiの開示内容
冒頭にあったように、どんなときもWi-Fiは2020年8月24日に「容量無制限プランの廃止」を告知しました。
そのときの詳細資料には、こうあります。
参考
無制限でサービス提供をしていくと、想定を遥に上回るテラを超えるお客様もおり、
結果上位5%のお客様で総容量の20%を占める状態となり、事業の採算上サービスの継続が困難
つまり、無制限をいいことにとてつもない量の通信をしていた方が5%ほどいて、
その方々の通信容量が多すぎて赤字経営になってしまうような状態になったわけですね。
そこで、グッドラック社が取った行動は、「無断で制限」でした。
"無制限"を謳うリスク
前段の「無断で制限」を行った結果、グッドラック社は回線事業として絶望的な状況に陥ってしまいました。
行政指導
無断で通信制限を行ったことによって、利用者は突然ほとんど通信ができない状態になってしまいました。
当然、クレームの嵐ですし、消費者センターにも多くの人が駆け込みました。
結果、政府から「行政指導」が発動されました。
これにより、改善を図らない場合は通信事業の停止を言い渡されてしまうかもしれない状況になったわけです。
そして、容量無制限廃止へ
グッドラック社は、選択を迫られました。
ひとつは、赤字でも容量無制限を続けるか
ひとつは、容量無制限をやめるか
当然、赤字では会社が成り立たなくなってしまうので、「容量無制限」の廃止になったわけです。
他の事業者も、リスクはある
今回は、佐藤次郎さんや今田美桜さんを起用してバンバンCMを打っていた「どんなときもWi-Fi」に焦点が当たりましたが、
他の事業者だって、同じ状況に陥るリスクはあります。
だって、3日で10GBという制限があるのに、容量無制限って言っているのですから。
一般的に考えたら、制限がある時点で無制限ではないですよね。
今後のWi-Fi事業はどうなる?
今回の行政指導によって、インターネット事業、Wi-Fi事業は、大きく変わっていく可能性があります。
可能性➀容量無制限は固定回線でしか言えない
赤字経営を良しとする会社でもなければ、容量無制限は実質不可能ということが分かりました。
それでも、現状ほぼ容量無制限と言えるのは「固定回線」だけです。
おうちに直接引き込んでいる回線であれば、初期投資は必要なものの、通信のコストはまだ抑えられるので、
制限をむやみにかける必要はなく、実質無制限と言うことができます。
ただし、一応固定回線の規約や重要事項説明には「想定外の通信を行った場合には制限する場合があります」と注意書きはあります。
テラバイトやペタバイトといった大規模通信を一人でしてしまうと、
他の何万人何十万人という人の通信が止まってしまうことになりかねないので、
あまりにもユーザーを自由にしすぎて悪用されないためにも、一応の注意書き、ですね。
とはいえ、実際そんな通信をする人は0.1%もいないので、無制限と謳っても問題ないでしょう。
可能性➁無制限と感じるような言葉の創出
次に、「無制限」ではない言葉が流行る可能性です。
結局は「ユーザーがどう受け取るか」なので
訴えられないギリギリを攻めれば攻めるほど、会社としては利益を上げやすくなるので、各社攻めようとしているはずです。
たとえば、
◆100GBプラン
ということで、「それは超えないから大丈夫だわ」という無制限感を演出したり、
◆ストレスフリー
という言葉で、「ストレスフリーなら容量も多いだろう」という認識を持ってもらったり。
まとめ
今回はどんなときもWi-Fiから見る、Wi-Fi事情を紹介介しました。
もう一度おさらいしましょう。
サマリ
◆どんなときもWi-Fiの「容量無制限」廃止
➀大規模通信をする人が多く、赤字経営になってしまう
➁赤字を避けるべく、無断で通信制限
➂政府から行政指導
◆容量無制限で使うには
・固定回線を家に導入する
・自分の通信容量以上のプランを契約する
この記事を読んでくださっている皆さまに伝えたいのは、
言葉を鵜呑みにせず、中身を見ること
です。
今回は容量無制限という言葉に騙された人がたくさん出たためにこういった事件になりましたが、
政府と事業者のいたちごっこには違いないので、
すぐに似たような謳い文句の事業は出てくると思います。
そんなときに、如何に騙されないための眼をもっていただきたいです。
もう一度言いますが、実質容量無制限なのは「固定回線(光回線)」だけなので、
自宅でみんなで毎日動画を観たりゲームをする、という方はぜひ「光回線」に入ってくださいね。
個人的には安さと速度のコスパが最強な「NURO 光」がおススメです。
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