2020年9月9日、Appleが大手ゲーム会社Epic Games(エピックゲームス)を反訴しました。
そうです。
実は1ヵ月ほど前にEpicがAppleを提訴しており、それに抗議する形で反訴を行ったのです。
かなりの泥沼交戦になりそうな気配がしてきますね…
今回の反訴の中身と、お互いの主張をさくっとまとめてみました。
ゲームを普段しない方でも、「プラットフォーム」という大きなビジネスモデルが崩れ去る可能性のある話なので
理解しておいて損はないでしょう。
反訴に至るまでを時系列解説
何が起きたのか、順番に解説していきましょう。
➀Epic Gamesが独自のプラットフォームを展開
2018年12月に、Epic Gamesストアというものを立ち上げました。
任天堂オンラインストアや、PS®store、そしてApp StoreやGoogle Play Storeと同じように、
ゲームをダウンロード(DL)できるサイトを立ち上げたわけですね。
Epic Gamesストアのメリット
このストアを使うメリットは、主に「ゲーム制作会社」にあります。
App StoreやGoogle Play Storeでは、
「アプリ内の課金額の30%をプラットフォーム料として支払う」というものがあります。
なので、私が1万円ゲームに課金すると、
3,000円はAppleかGoogleの利益になるわけですね。
これを、Epic Gamesストアでは、「12%」としました。
ゲーム会社からすると、今まで課金の70%しか利益にならなかったのに、
Epic Gamesストアで課金してもらえば、88%が利益になるわけです。
そうなると、Epic Gamesストアで課金してくれたほうが嬉しいですし、
その分お客様へ還元することもできるようになるわけですね。
➁Epic Gamesストアで課金を促すキャンペーン
今回の騒動の発端となったのが、こちらです。
要は、こういうこと。
注意ポイント
App StoreやGoogle Play Storeじゃなくて、
Epic Gamesストアで課金したほうがお得だよ!
当然ですが、ユーザはお得なほうに流れますよね。
そして、App StoreやGoogle Play Storeで課金する人はいなくなってしまいます。
この誘導行為を、AppleおよびGoogleは"禁止"しています。
規約に、明記してあるわけですね。
➂App StoreおよびGoogle Play Storeからフォートナイト削除
この➁の行為をもって、AppleおよびGoogleは、
フォートナイトをアプリストアから削除しました。
アプリストアから削除されてしまうと、
◆新しくフォートナイトをダウンロードできない
(新しく遊び始めることができない)
◆更新データがダウンロードできない
(バージョンアップができない)
といった問題がおきます。
➃Appleを独占禁止法違反で訴訟
そしてEpic GamesはAppleを訴えました。
内容は「Appleが配信のプラットフォームを用いて市場を独占している」ということ。
まぁたしかに、自分たちのプラットフォームを使うように促すことができない、という状態は
市場の独占と捉えられなくもないですね。
ただ、AppleやGoogleの規約に了承したうえで配信している以上、
「条件をのんで配信したのに訴訟て…」という意見もあるでしょう。
➄AppleがEpic Gamesのアカウントを削除
8月末に、さらなる制裁として、App StoreにおけるEpic Gamesのアカウントを削除しました。
これにより、新しい開発やアプリの更新がほとんどできなくなってしまいます。
iPhoneユーザとしては、あまりにつらい状況ですね…
フォートナイトが大好きな方々は、できれば早めに他のプラットフォームで遊ぶようにしたほうが良いと思います。
➅AppleがEpic Gamesを反訴
そして、Appleが反訴しました。
内容は、以下。
参考
Appleは、Epic Gamesに対して、契約違反の責任を問うとともに、
Epic GamesのゲームであるFortniteが独自決済システムにて売り上げたお金を賠償請求。
さらにFortniteを含む全アプリでの同決済システムの禁止命令を要請
これはつらいですね…
いくら大手ゲーム会社といえど、Appleの本気に勝てるのか、心配ではあります。
AppleもEpic Gamesを捨てたいわけではない
でも、Appleの反訴内容には一部優しさもあるように見えます。
要は、「お金で許す」という形なわけです。
こういう場合の多くは、「二度とApp Storeでの販売をさせない」ことが前提にありますが、
大人気ゲームを消し去る、というのはプラットフォーマーとしても痛い選択なので、そういう動きではないように見受けられます。
そもそも1社独占ではなく、Googleのプレイストアなどもあるので、
何でもかんでも排除だけをし続けると、iPhoneユーザ自体が離れてしまいかねないですからね。
まとめ
今回はAppleがEpic Gamesを反訴するまでの経緯を解説しました。
最後にまとめを記載しましょう。
サマリ
◆発端
プラットフォーム料が売り上げの30%
⇒高すぎる!という反発
◆本件の経緯
➀Epic Gamesが独自のプラットフォームを展開
➁Epic Gamesストアで課金を促すキャンペーン
➂App StoreおよびGoogle Play Storeからフォートナイト削除
➃Appleを独占禁止法違反で訴訟
➄AppleがEpic Gamesのアカウントを削除
➅AppleがEpic Gamesを反訴
補足:フォートナイト(Fortnite)とは
⇒Epic Gamesが運営する、シューティングやバトルロイヤル要素の強いソーシャルゲーム
任天堂だってNintendoストアがあり、
ソニーだってPSストアがあり、
Amazonだって本や音楽のプラットフォームがあります。
どの会社も「プラットフォームビジネス」が一番美味しいと分かっているからこそですね。
だからこそ、Epic Gamesが今回の裁判で勝ってしまうと、みんな独自のプラットフォームで、30%の手数料を払わなくていい状況を狙います。
…そうなると、僕らユーザーは、どんなサービスやゲームをするにも、それぞれのプラットフォームに登録しなきゃいけない、なんてことになりかねないですね。
あとは、最安値を買いに頑張るか、コンビニの定価を買うか、みたいな感覚で、意見は割れるのではないでしょうか。
今後も様々なニュースが出てくると思いますので、
プラットフォーム戦争の動向をしっかりと掴むようにしましょう。
この裁判の行方次第では、他のプラットフォームの会社も
「30%」という利用料を改めなければいけなくなる可能性もあるので、アプリ市場・ゲーム市場がガラリと変わる可能性がありますからね。
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