2020年8月14日、大人気ゲーム「フォートナイト(Fortnite)」が、突如トレンドを席巻しました。
ゲームをやったことがない方は「どうした??」という感じでしょう。
実は、フォートナイトを運営するEpic Games(エピック)がApple.Inc(アップル)に訴訟を起こしたのです!
しかも、Appleを批判するCMまで公開しました。
何が起きたのか、そして原因は何なのか。
ゲームのプラットフォームの裏事情を踏まえて、分かりやすく解説していきます!
訴訟に至るまでを時系列解説
ほとんどが1日の間で起きているのですが、
何が起きたのか、順番に解説していきましょう。
➀Epic Gamesが独自のプラットフォームを展開
これ自体は、特段問題というわけではありません。
2018年12月に、Epic Gamesストアというものを立ち上げました。
任天堂オンラインストアや、PS®store、そしてApp StoreやGoogle Play Storeと同じように、
ゲームをダウンロード(DL)できるサイトを立ち上げたわけです。
Epic Gamesストアのメリット
このストアを使うメリットは、主に「ゲーム制作会社」にあります。
App StoreやGoogle Play Storeでは、
「アプリ内の課金額の30%をプラットフォーム料として支払う」というものがあります。
なので、私が1万円ゲームに課金すると、
3,000円はAppleかGoogleの利益になるわけですね。
これを、Epic Gamesストアでは、「12%」としました。
ゲーム会社からすると、今まで課金の70%しか利益にならなかったのに、
Epic Gamesストアで課金してもらえば、88%が利益になるわけです。
そうなると、Epic Gamesストアで課金してくれたほうが嬉しいですし、
その分お客様へ還元することもできるようになるわけですね。
課金の30%って、高いの?
結論からいうと、販売の代理店と考えると「平均価格」と言えます。
電気屋さんやゲームショップで販売されているゲームは、
販売価格の30%がショップの売上になる、というのがおおまかな共通認識とのことで、
それに則った割合設定をしているのでしょう。
実際、PSストアや、任天堂eShop、Xboxストア、Steamなどの大手プラットフォームも
同様の「30%」で運営されています。
なので、「何もしていないのに30%は大きい!」という意見もありますし、
「ちゃんと優先的な広告や告知もしていて成り立っているプラットフォームだから、30%は販売代理店相当で妥当だ」という意見もあります。
いずれにしろ、プラットフォームビジネスが市場を席巻できる、というのは近年の流行で、
Epic Gamesに限らず、様々な会社がプラットフォームビジネスに参入しようとしています。
➁Epic Gamesストアで課金を促すキャンペーン
今回の騒動の発端となったのが、こちらです。
要は、こういうこと。
注意ポイント
App StoreやGoogle Play Storeじゃなくて、
Epic Gamesストアで課金したほうがお得だよ!
当然ですが、ユーザはお得なほうに流れますよね。
そして、App StoreやGoogle Play Storeで課金する人はいなくなってしまいます。
この誘導行為を、AppleおよびGoogleは"禁止"しています。
➂App StoreおよびGoogle Play Storeからフォートナイト削除
この➁の行為をもって、AppleおよびGoogleは、
フォートナイトをアプリストアから削除しました。
ユーザ目線の弊害はこういったものです。
注意ポイント
◆新しくフォートナイトをダウンロードできない
(新しく遊び始めることができない)
◆更新データがダウンロードできない
(バージョンアップができない)
これは大変な事態ですよね。
PCで遊べる方はそこまで問題ではないですが、
今は「スマホ」で遊ぶのが当然な時代。
しかも、iPhoneはApp Store以外でアプリを入れる術が原則ないので、
日本人のスマホ利用者の6割がiPhoneという話も踏まえると、かなりの痛手です。(世界シェアだと30%程度)
しかし、Epic Gamesは初めからこうなることが分かっていて、
準備を進めていました。
➃Appleを独占禁止法違反で訴訟
そして訴訟へ。
アプリ削除の即日対応で訴訟を起こしました。
内容は「Appleが配信のプラットフォームを用いて市場を独占している」ということ。
まぁたしかに、自分たちのプラットフォームを使うように促すことができない、という状態は
市場の独占と捉えられなくもないですね。
ただ、AppleやGoogleの規約に了承したうえで配信している以上、
「条件をのんで配信したのに訴訟て…」という意見もあるでしょう。
Apple批判の動画まで公開
正直なところ「ここまでする?!」と思ってしまったのですが、
訴訟とほぼ同時に、YouTubeに「Apple批判」の動画を掲載しました。
しかも、これは「過去(1984年)にAppleが出した動画のパロディ」なのです。
内容を軽くまとめましょう。
ポイント
◆元ネタは「AppleがIBMの独占状態に一石を投じる」
◆本動画は「FortniteがAppleの独占状態に一石を投じる」
◆Appleを模したリンゴマークのキャラから
ミミズが生えている
こわいですよね、、
思い切った行動という意味ではいいですが、
本気で逆鱗に触れる動きを企業で行うのは、すごいなぁ、と感心してしまいます。
(私も大企業に勤めていましたが、とてもこんな批判的行動をとろう!なんて経営陣はいませんでした…)
こちらがその動画になります。
ユーザができること
ユーザができるのは、「リスクヘッジ」くらいでしょうか。
アカウント連携機能はあるので、
「PC版」などでもしっかりとログインして使えるようにしておくことで、
万が一「コアアップデート」ができなくなることでスマホでは遊べない!なんていう事態にも
対処することができます。
まとめ
今回はEpic GamesがAppleに起こした訴訟までの経緯を、フォートナイトを軸に解説しました。
最後にまとめを記載しましょう。
サマリ
◆フォートナイト(Fortnite)とは
⇒Epic Gamesが運営する、シューティングやバトルロイヤル要素の強いソーシャルゲーム
◆本件の経緯
➀Epic Gamesが独自のプラットフォームを展開
➁Epic Gamesストアで課金を促すキャンペーン
➂App StoreおよびGoogle Play Storeからフォートナイト削除
➃Appleを独占禁止法違反で訴訟
&Apple批判のパロディ動画も公開
⇒プラットフォーム料30%が高すぎる!
ということが発端
ちなみに、訴訟の1週間前には、
「米津玄師」をFortniteに招待して「ライブ」を行う、なんてイベントもやっていました。
ソニーミュージックとのコラボにも力を入れていて、
「日本のダウンロード数を、DL禁止前に稼ごう!」という動きにも今なら思えますね。
TikTok問題は「国対国」という形でしたが、
今回はアメリカの会社同士の対立となります。
※Epic Gamesの大株主(40%保有)はテンセント(中国の会社)というのもあり、
まことしやかに「これも国家間の問題…?」とささやかれていますが、なんとも分からない状況です。
今後も様々なニュースが出てくると思いますので、
「フォートナイトやってないし」と無関心にならずに、
「情報」をしっかりと掴むようにしましょう。
この裁判の行方次第では、他のプラットフォームの会社も
「30%」という利用料を改めなければいけなくなる可能性もあるので、アプリ市場・ゲーム市場がガラリと変わる可能性がありますからね。
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